2013年10月24日

基準値と正常値

人間ドッグや健康診断で検査した結果がデータとして返ってきます。
それを見て「え〜」と思った事はありませんか。
なんでこんなに高いのとか、
うっそ〜、なんでこんなに少ないの…、
誰もが一度は疑問に思った事があります。
しかも、再検査をお勧めしますってどういう事って思いませんか。
結果が悪いのであれば有無をいわさず再検査をさせるべきだし、
それほどでもないのであれば半年後にもう一度検査を受けてくださいとか、
もっと具体的に指示を出すべきなのではないのでしょうか。
そのための人間ドッグだし健康診断なのではないのでしょうか。
では、この数値の危険度はどのようにして決められているのか、
単純に信じきっている公表される基準値とはどういうものか、
みなさんの誤解の元を探ってみましょう。

「基準値とは」

人間ドッグや健康診断を受けたり、
あるいは外来や入院で検査を受けると、たくさんのデータが戻ってきます。
レントゲン写真や心電図など、数値ではなかなか測りきれず
感覚的な判定に委ねられる情報を除くと、あとは色々な数値の山が残されます。
血清総コレステロール値が180mg/dlだの、
あるいは230mg/dlだのといった数値です。
例えばある検査センターの報告書には値が130〜229mg/dlと書かれていて、
自分の成績が230とか231mg/dlだと、
それだけで厭な感じとなり、またそれを誇大に説明して、
被検者の方を恐怖に陥れる医師や栄養指導の方がいたりします。

これらはすべて統計というものの、いわばまやかしです。
広い意味ではウソです。
ウソといっても、アメリカの小説家マーク・トゥエンの言によると、
世の中には3種類のウソがあって、
その一つは単純なウソ、もう一つは本当のことを黙っている類のウソ、
そしてもう一つは、ここで問題となっている統計学を使ったウソです。

医療統計学の専門家によると、
この統計学のダマカシは日常茶飯のことで、本来全く関係ないことが、
別の方法を用いて検討するときちんとした関係を出せるものだと言っています。
そうでなくてももっともらしいウソが多いのです。
一番多い大きな誤りは、ある相関関係をもって、
それがあたかも因果関係であるかのように語られることです。

本当にあった話をひとつ紹介しましょう。
高血圧は現在人口の5%程度の人が罹患しているほどポピュラーな病気ですが、
ある高名な学者が高血圧の発症と社会的、医学的、
その他様々な因子との統計的解析をおこなったところ、
発症率の上昇はテレビの売り上げ台数にもっとも密な関係を示しました。
1960年代のことです。
この相関は本来全く無関係のものが、
統計というマヤカしによってあたかも因果関係があるかのように
作り上げられた虚構(ウソ)の好例として語り伝えられています。

こういう統計に基づいて検診データの基準値が作られます。
しかしこの場合は、データベースが限られていますから仕事は簡単です。
色々なデータについては医者はあれこれと話したり、
それを無視する人もいますが、
例として、まず誰も高いの低いのと語らない、
身長を例にとってみるます(体重だとか肥満度など、
これから先、変えることが可能なものについてはあれこれいっても、
君は背が高すぎるとか低すぎるとか文句をつける医者はあまりいないからです)。

人の身長は年齢とともに増し、
おおよそ20〜24歳で身長かみた成長は止まります。
そしてその身長は低い人では135p、
高い人ではプロレスラーのように2mを超えます。
ですがその両極端を病気だ、異常だという人はほとんどいません。
今非常にたくさんの人の身長を、
例えば1pごとに区分けしてその度数(各p毎の頻度)を並べてみると、
それはあるところを中心にして、
低い方(左側)と高い方(右側)とに広く分布します。
そして生物学的には左側も右側も同じような肩下がりを示します。
これを正規分布といい、肩は緩やかなことも、急峻なこともあります。

基準値と正常値.gif

この際、全員の身長を足して人数で割ったものが平均値(m)であり、
通常、たくさんの人を集めると、このmは山の頂点にきます。
これが世のいう並の背丈です。

          すべての計算値の累積
平均値(m) = ーーーーーーーーーーーー
          個    数

しかし人間の背丈はこの平均値だけでは表せません。
その分布は非常に広い幅を持っているからです。
そこでどれ位がおおよそのところか、
つまり基準となる背丈とはどのくらいかという考えが湧いてきます。
これは例えば日本人と他の国の人との対比などには大切な点です。
この場合、山の裾の広がり方(分散の形)を示すひとつの方法として、
標準偏差(SD)という表示法があります。
計算方法は省略しますが、知っておくべきことは、
この標準偏差が大きい程前述した山の傾き(勾配)は緩く、
小さい程急峻だということです。

医学の統計では山の左右の方向に2×標準偏差(±2SD)を加え、
平均値(m)±2SDをとってその統計値の「基準値」としています。
そうすると山全体のかなりの部分がこの中に入ってきて、
めでたしめでたしとなるのです。

ですが、少数ですが、“正常例”でもこの基準値から外れる者が出てきます。
しかしこれらの外れ者が直ちに“異常者”だと言えるか否か、問題はここにあり、
健診を受ける側と結果を伝える医師側の慎重な判断が必要とされます。
正常者を対象として出した統計なのだから、
正常値を外れても、正常は正常なのだからです。

さてそれでは改めて「正常値」とは何かを考えてみましょう。
しかし残念ながら、実は「正常とは何か」について、
明確な答えを出せる人はいないのです。
正常とは、しいて言えば異常ではない、という答えしかないのです。
答えは哲学的で科学の領域をはみ出しているのです。

実は基準値という語を用いたのは、
「正常と異常」という論争を避けるためだったのです。

正常者が基準値を外れたいわゆる異常値を示す一方、
異常者が正常値を示すこともあります。
というより、その方が多いのです。
それ故に、計測された値をみて、
その一つ、二つが基準値を外れているからといって
被検者にストレスを与えるのは、共に愚かなことです。
そして一方において、自分が病気でありながら、
検査値が基準内にあるから絶対に大丈夫だと楽観するのも愚かなことです。

物によってはこの基準値内に収まっているほうが良いに決まっていますが、
背の高い人にいくらお説教をしても背が縮む訳ではないので、
例えばいつも体重が標準をオーバーしているからといって、
関連する他の所見を考慮せずに、
その人が異常だと脅迫的な言辞を弄する医師は愚か者と言わなければなりません。
肥った人がおり、痩せた人がいるからこそ、
平均値が生まれることを銘記すべきです。
健診は“病気を創り出す”方法ではないのです。

「基準値は変わる」

正常者の幅が広いので(というより何を持って正常かがよく分からないので)、
上記のように基準値という値を設け、
一種のたがをはめましたが、この値は絶対的なものとは限りません。
この枠から外れれば直ちに異常とはいえないし、
また前述のように病的な人の値がこの基準値内に収まって、
異常を発見できない場合もあります。

ところでこの基準値が絶対的でない理由にはいくつかのものがあります。
第一はいわゆる正常者の変動です。
1953年、東大病院に日本で始めて中央検査室が開かれたとき、
血清総コレステロールの基準値上限は160mg/dlで、
現在よりも60mg/dlも低かったのです。
検査用紙が新しくなるにつれ、その他は180、200、220、230、
そして一時250mg/dlまでになりましたが、
すぐに230mg/dlに下げられて、今に至っています。
これは1955年から行われた米軍放出物資(食料)が、
厚生省の宣伝カーで全国に配布され始めた影響かと思われます。
その中には牛乳およびその製品(バター、チーズなど)が多く含まれていました。
このように、生化学的検査には時代背景がからんでいます。
最近、肝機能でのγ-GTP(男性)の上限が60から73と高くなったのも、
そのような反映です。

年齢や性別も無視はせきません。
上述のコレステロール値は、学童では150以下の例の方が多く、
成長のため、コレステロール生産が間に合わないのです。
バセドウ氏病でも同じです。

同じことは国による差にもみられますが、ここでは触れる必要はないでしょう。
やだし外国人が検診の中に加わってくると、事はやや面倒になります。
例えばハンガリーでの血清総コレステロール値正常上限は、
かつては300mg/dlで、日本人ではこんなに高い人は稀なのです。

測定法の僅かな差もあります。
検査室で違ったキットを用いていれば、当然さが出てきます。
血液の固まりにくさを見るトロンボテストなどはその好例で、
そのため別の国際的判別法が用いられる事もあります。

測定法のあやふやなものもあります。
肝硬変などの判定に用いられる膠質反応(TTT、ZTT)などは、
いづれ消え去る検査法といわれていますが、
かなり測定値のばらつきがあり、あまり信用されていません。
それ故に、これらの値が少しばかり上限を超えているからといって、
すぐ異常だと判定するのは愚かだと言えます。

土台、生化学的検査では、同じものを二度測れば少し違った値が出るのが常です。
生化学的検査というものはおおよそそのようなもので、
常に定規で測るような値を期待するのは見当違いというものです。
かなりの柔軟性をもって検査値を眺めなければなりません。

通常、健診などの血圧値は偶数値で表示されますが、
例えば142//84oHgのように、
実際のところ針を刺して測れば奇数値のこともあり、
家庭血圧計では偶数、奇数いづれも表示されます。
その理由の一つとして、
健診などでは動脈に針を刺して正しい値を得ている訳ではなく、
間接的にコロトコフ音で測っていて、
その両者間には「完全な」一致性はなく、
そのために詳細な値にこだわる必要はないからです。
また続けて何回も血圧を測ったことのある人はすぐ気づきますが、
測定ごとに数値は変化して、どれを本当の値とすればいいか困惑します。
ですから数oの差にこだわるのは賢明でなく、
アメリカの論文などは、10oHg単位(150/90のように)で記載されています。

「正常者と基準値」

図に示したように、正常者の値のすべてを基準値以内に収めることは、
統計的手法を用いる以外不可能です。
また、すべての生物学的変異の中には必ず「はづれ者」がいます。
ですから、正常範囲は基準値より幅広いんです。
それゆえに、例えば赤血球数の男子基準値が438〜577万/㎤の場合、
ある人のそれが430万だからといって貧血だとはいえないし、
400万を切っていても、必ずしも異常だとは言えない場合もあります。

正常者の値と基準値が近いものもあります。
図の山の傾斜が急な場合で、
例えば糖尿病でのヘモグロビンAlcなどがそれに該当します
(基準値は4.3〜5.8%とされています)。

早朝空腹時の血糖値の基準値は70〜110mg/dlで、
これら5.8%と110mg/dlを共に超えると糖尿病の疑いがかけられるのですが、
正常者(非糖尿病者)でもそのいづれかが基準値を超える場合もあり、
両方とも基準値を超える正常者も稀に存在します(1000人に1人程度)。
逆に両方とも基準値を下回り、
従って検診では発見されない糖尿病の症例も稀に存在します。
ですから糖尿病だと騒いだり、全く安心だといったりすることは、
1000人に1人位は間違っていることになります。

もう一つ重大なことがあります。
それは今まで述べてきた基準値は、
すべて正常者というものを対象にして作り出された値に過ぎないということです。
もし被検者が他の病気にかかっていれば、基準値は変わってしまいます。
例えば、下表の示すように、冠動脈疾患を患っている人では、
血液総コレステロール値が200mg/dlという正常者の基準値内でも、
すでに薬剤を用いなければならい悪い状態になっています。
色々な危険因子の存在下では基準値そのものがより厳しいものとなります。
その為に、単に正常者の基準値だけで善し悪しを判定することは難しいのです。

疾患による高コレステロール血症評価の相違
  (日本動脈硬化学会ガイドライン)

血清総コレステロール値(mg/dl)
                   要治療    薬物療法   目標値
                 (食事・生活)  
冠動脈疾患なし、他の危険因子なし   220以上   240以上   220未満
冠動脈疾患なし、他の危険因子あり   200以上   220以上   200未満
冠動脈疾患あり            180以上   200以上   180未満

 注)冠動脈疾患:狭心症、心筋梗塞(この場合は、
         180mg/dl以上は異常とみなされ、治療対象になる)
 注)他の危険因子:これらがあれば200mg/dl以上は異常。
          ・加齢(男性:45歳以上、女性:閉経以後)
          ・家族歴:冠動脈疾患患者がいる
          ・肥満・糖尿病・高血圧
          ・喫煙
          ・高中性脂肪血症
          ・低HDLコレステロール(善玉コレステロール低値)

こういう基準値の考え方は、その他あらゆる生物学的検査にあてはまります。
肥満があり(例えば、BMI>25など)、異常と判断されても、
その人に高血圧、糖尿病、高脂血症などがある場合とそうでない場合とは、
その意味付けが違ってきます。
もしこの4者が揃えば、それは死の4重奏(deadly quartet)で、
その先行きは決して明るいものではありませんが、
BMI>25のみならば、それほど心配することはないのです。

健診やドックは100%のデータを出す訳ではなく、
被検者もその限界を良くわきまえていなければなりません。
極端な場合、肺専門家によっても、
通常の胸部レントゲンでの肺癌発見率は75%止まりです。
それに比べると、生化学的検査はまだましです。
医師はこのような様々な限界を克服し、
被検者のニーズに応えるよう日夜努力しなければならないのです。
それにはあまり個々の子細な変動にこだわらず、
総合的な観察と、その個人個人の状況に照らした対処に徹するしかないのです。
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2013年10月17日

高齢者によく見られる前立腺肥大症

自分の年齢を実感するものの一つに排尿障害があります。
その9割は前立腺肥大症が原因と言われています。

60歳以上の男性の4分の1は前立腺肥大症と言われる程、
よく見られる病気です。
同時に前立腺癌も急速に増えており、
高齢化社会を迎えて前立腺の病気は避けて通れなくなりました。

前立腺1.JPG

排尿時に異常を感じている方、熟年の方は是非、
前立腺エコー検査を受けられることをお薦めします。

前立腺肥大症の治療法

前立腺肥大症の症状は、
多くは夜間の頻尿(就眠してから3回も4回も小水に起きる)から始まり、
しだいに排尿困難(尿の出始めに時間がかかる、
いきまないとでない、尿の勢いが弱い、出終わるまでに時間がかかる、
尿の切れが悪いなど)の症状が現れるようになります。

泌尿器科で血液検査(PSA)、X腺検査、超音波検査、
MRI検査、尿流測定等で前立腺の状態を検査しますが、
基本となるものは昔ながらの直腸診です。

一般に、前立腺肥大症は本質的には良性の病気です。
したがって、がんのように見つけ次第
何らかの治療を始めなくてはならないと言うものではありません。
症状を和らげる方法を考えて治療方針を立てるのが原則です。
しかし、一度の排尿によって膀胱の尿が全部排泄されない場合、
つまりある程度以上の「残尿」がある場合には、
たとえ自覚症状がなくても何らかの治療をし、
残尿のない状態にしなくてはなりません。

治療は患者さんの愁訴、残尿の有無によって色々考えられます。
患者さんは一般に高齢者が多いので、
侵襲は最小限にすべきであることは言うまでもありません。

推奨する治療法は先ず、薬物による治療が考えられます。
症状の軽い多くの患者さんでは交感神経α1遮断剤で症状が好転します。
このほかに薬物療法としてホルモン剤などがあります。
夜間の頻尿を主張する患者さんには、前立腺高温度療法をおこないます。
これは前立腺の腫瘍をマイクロ波で縮小させる方法ですが、
腫瘍が大きく排尿障害の強い患者さんには、
一回だけで満足な結果を得ることは困難のようです。

経尿道的前立腺切除術(TURP)は最もスタンダードな治療法です。
特殊の内視鏡を用いて、
経尿道内で前立腺の肥大した部分を切除する方法です。
一般にこの手術は少なくとも数日間、
長くて2週間ほどの入院をさせる施設が多いようです。
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2013年10月10日

鬱病になるのはまじめな人?


今回は、身体的な疾患から少し離れて、
いわゆる精神的な問題「うつ病」についてお送りします。

うつ病というと皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか。
夢遊病者のように何もできずにふらふらした状態になる、
家に閉じこもったきりで、外に出られなくなる、
不治の病などかなり重症な病気と言う印象があるのではないでしょうか。
しかし今日的なうつ病は、様相が変わってきています。
まず、軽症例が圧倒的に多くなっていること、
また、現在のストレス、リストラ杜会を反映してその数が増えています。
うつ病を考えることは
現在の杜会の問題点を探ることにつながるかもしれません。

うつ病とは

うつ病とは抑うつ気分が根底にあり、
それに伴って意欲の減退や思考の障害を起こし、
さらに様々な身体的症状を呈する疾患です。
不眠や食欲不振、自律神経の症状をはじめとした身体的症状は
代表的な症状であり、これらに不安焦燥感を伴うのが一般的です。
時には妄想を伴うこともあります。
症状は普通一日の内で朝が悪く、夕方に改善してきます。

うつ病の病前性格

うつ病になりやすい人がいます。
うつ病はあるタイプの人を襲うのです。
すなわち真面目、責任感が強い、仕事熱心、几帳面、正義感が強い、
頼まれると断れない、人との争いを嫌う、人の思惑を常に気にする、
こういう人が危ないのです。
すなわち一見して心やさしい、いい人を襲うのです。

こういう人は社会生活を続けていく上で、
いろいろな負担を背負いやすいのです。
たとえば、サラリーマンであれば会社である程度の地位につくと、
責任ある仕事につくようになります。
そして徐々に仕事の量が増えていきます。
そんな場合、いまお話したような性格の人はまず仕事を断りません。
断るどころかより一生懸命仕事に励むようになります。
すなわち負担が増えるのです。
休日も返上して、仕事に励むことも珍しくありません。
こうなると身体も、心も徐々に疲れてくるのです。
自分では気がつかないうちに、状況は悪くなっています。
そしてうつ病は発症してきます。
そのままなんの手だてもなく仕事の量が増えつづけていくと、
やがて心のエネルギーは枯渇し、やる気が失せます。
こうなると典型的なうつ病の症状がでてきます。
不眠、食欲減退、そしてさまざまな身体症状、
不安焦燥感はつのり、最後に行きつくところは絶望感からの自殺です。

うつ病人口

最近の、うつ病の有病率は1〜5%、
すなわち100人のうち1〜5人はうつ病の人がいることになります。
生涯有病率といって一生涯生きていくと何%の人がうつ病になるか
という統計報告では13〜17%といわれています。
すなわちかなりの方が一生涯のうちうつ的な状態になるということです。
もちろん後でもお話しますが軽症うつ病が多いわけです。
うつ病はポピュラーな病気であり、
やはり常にその可能性を考えておく必要があります。

うつ病のチェックリスト

以下のような症状があればうつ病のはじまりかもしれません。
1  朝いつもより早く目が覚める
2  朝起きた時陰気な気分がする
3  朝いつものように新聞やテレビをみる気になれない
4  服装や身だしなみにいつものように関心がない
5  仕事にとりかかる気になれない
6  仕事にとりかかっても根気がない
7  決断がなかなかつかない
8  いつものように気軽に人に会う気にならない
9  なんとなく不安でイライラする
10 これから先やっていく自信がない
11 「この世から消えてしまいたい」と思うことがよくある
12 テレビがいつものように面白くない
13 淋しいので誰かにそばにいてほしい、と思うことがよくある
14 涙ぐむことがよくある
15 夕方になると気分が楽になる
16 頭が重かったり痛んだりする
17 性欲が最近おちた
18 食欲も最近おちている
普通の人でも一つや二つはあてはまることがあるでしょう。
しかし五つ六つと増えるにつれてうつ病の危険が迫っています。
もしかなりの数あてはまるという方があれば、
一度専門家に相談してください。

軽症うつ病について

最近は軽症のうつ病が増加しています。
昔からの典型的なうつ病の症状はそろわないが、
うつ病として治療する対象として考えられる場合は少なくありません。
初期のうつ病には何らかの身体的症状を主症状とする場合がほとんどです。
例えば、胃が痛くなることがあり、食欲もない、
よく眠れないということで内科を受診する方があった場合、
胃の検査をしても異常がない。
胃ぐすりを出しても症状がよくならない。
こんな場合、過剰のストレスがかかった状態であることがはっきりすれば、
うつ病の可能性が高くなります。
このように身体的な症状が前面に出た場合を「仮面うつ病」と呼びます。
適切な精神療法と軽い抗うつ剤ですぐによくなります。

うつ病の治療

うつ病の治療の基本はまず休養させることです。
特に心の休養が十分できるような状態を作ってあげることです。
つまり仕事の心配をしないで休める状況が望ましいのです。
うつ病の人は外から見るとなんとなくやる気がなく、
怠けているような感じがします。
ですから「がんばれ」とはげましたくなるのですが、
決してはげましてはいけません。
はげまされてもそれに応えるだけの心のエネルギーがないわけですから、
はげまされた方は大変苦痛なのです。

薬物療法は大変効果的で、大きな副作用もありませんから、
ほとんどの方が薬を飲むことになります。
薬は医師の指示にしたがって飲んでください。
良くなったからと言って勝手に止めたりするのは再発なども含めて、
大変危険です。

予防、早期発見のために

まずうつ病がどのように起こってくるかを理解し予防することが肝要です。
うつ病は特になりやすい性格の人がいます。
白分の性格を分析し、もしうつ病型の性格であれば特に、
普段からの注意が必要です。
月並みですが、少し疲れていると思った時には、
早めに仕事を切りあげることが必要です。
時には仕事を断る勇気も必要でしょうし、
終わらなければあきらめて翌日にのばすといった余裕を持ちたいものです。
いわゆるストレス解消で、
仕事以外のことに頭を切り替えることも重要でしょう。

それでは早くうつ病を見つけるための方法ですが、
やはりこれもまず自分の体調の変化にいかに早く気付くかということです。
不眠が続くというのは典型的な場合でしょう。
それに加えて食欲がなくなり、
体重が減ってきたということになれば、確定的です。
先程お話した仮面うつ病ということもありますから、
まず内科的症状でもよく医師と相談してみることをお勧めします。

最後に、職場でのうつ病のマネージメントについてです。
現在のストレス社会において、
職場でのうつ病の発生は珍しいものではありません。
むしろ会社の中に必ずうつ病の方がいると思うべきです。
それまで無遅刻無欠勤なまじめ社員に
突然無断欠勤が数日間続いた時にはうつ病を疑わなければなりません。
部下の杜員がなんとなく体調がわるい、
元気がないという感じのときにはそれとなく「よく眠れるか」とか
「食欲はあるか」などと質問してみて
「あまり眠れない」などという返事が返ってくれば
産業医や保健婦に相談させたほうが良いでしょう。
万が一不幸にも、うつ病の方が発見された場合には、
まず少しでもその方の精神的な負担を取り除く努力が必要です。
もちろん休ませることが一番です。
そしてうつ病の治療後職場復帰の時点では、
原則は同じ職場への復帰が望ましく、
あまりあせらずに十分回復してからの復帰を心がけます。
できればはじめは例えば9時に出社して、
3時間会社にいて12時に帰宅するなどの
ウォミーングアップ期問を経てから通常の勤務に戻す、
さらに3ヶ月ほど仕事の量を増やさずに様子をみるなどの注意が必要です。

うつ病は決して珍しい病気ではありません。
また早く気付けば比較的治りやすい疾患と言えます。
現代はうつ病について個人個人が意識を持ち、
また職場としてもなんらかの対策が必要な時期であると思います。
うつ病について真剣に取り組もうではありませんか。
posted by 健康一番 at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康医学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする